一昔前まではここ東京でも、縁側で梅干しをザルに並べて、
丁寧にひっくり返しているおばあちゃんの姿が、
あちらこちらで見られました。
そんな懐かしい光景が心の片隅に残っていて、
ふとしたきっかけからお店で作って販売することになりました。
元々は青果店ですから、生梅の販売はしていたのですが、
梅干しを作ってみようと思ったのは今から4〜5年前。
お客さんに尋ねられた疑問から、この仕事は始まりました。
「最近は美味しい梅干しって無いねぇ」、
「よく見ると賞味期限・保存料・甘味料・着色料なんて書いてあるのよ」
「梅干しすらも薬が必要なのかねぇ?」
「食べた後に変な味が口の中に残るのよね」
等々
この疑問を解消すべく、自家製の梅干しを作ってみようということに相成りました。
自然の原材料にごくごくありふれた漬け込み方で、
美味しい梅干しは作ることが出来るのだろうか?
いざ作ってみると、試行錯誤の連続。
手間はやたらとかかるし、カビないように神経は使うし・・・。
でも出来上がった梅干しを食べたとき、全ての苦労は喜びに変わりました。
「おばあちゃんが作っていた梅干しって
こんなに美味しいものだったんだ」と本当に感動しました。
そんな思いから始まったお店での梅干し作り。
同じ感動をお客様にも味わってもらいたいと思い、現在に至ります。
もちろん販売もしていますが、販売が主ではありません。
お客様に一度味わって頂いて、ご自分の手で、
ご家庭の味を、作っていただきたいのです。
懐かしいお袋さんの味を、ご家庭で。
荻窪鈴木青果店からの提案です
1998年11月26日