梅干しの土用干しとは?「生活の知恵」

梅干しは土用干しをして初めて「梅干し」になります。

今日はいつになく真面目な私。

いいなぁ~この真面目そうな書き出し。
もう「おちゃらけ」は卒業・・・できるといいな(願望)

土用って何?何で丑の日にうなぎを食べるの?というご質問はこちらをご参照。
→「土用干し」の「土用」-春夏秋冬四つの土用
ご覧になりました?平賀さんまで読みましたか?(^-^;)
土用についての解説は昨年の記事を読んでいただいた通りです(^-^)

ということで、
今年は「梅干しの土用干しと紫外線」を
ちょっと掘り下げて記事にしてみようかと。

と、その前に。こんがらがっちゃうとあれなので、
私が使っている言葉の定義をしておきますと。

梅干しとは?
塩漬けにした梅を「太陽に当てて土用干し」して、梅酢に漬けずに保存するもの。基本的には常温保存で、経験上の賞味期限は5年位。消費期限は無制限(笑) 一般的な使用原料は、梅と塩。または、梅と塩とホワイトリカー。


梅漬けとは?

塩漬けにした梅を「太陽に当てず」に、梅酢に漬けたままで保存するもの。または、塩漬けにした梅を「太陽に当てて土用干し」した後、梅酢に戻して保存するもの。基本的には常温保存で、経験上の賞味期限は3ヶ月~半年位。消費期限は1年位。一般的な使用原料は、梅と塩。または、梅と塩とホワイトリカー。
↑梅干し本来の殺菌効果が期待出来るのはここまでと思っています。

加工梅とは?
塩漬けした梅を「塩抜きして調味液に漬け、味を整えたもの(梅干しや梅漬けを使った料理)」で、長期保存・常温保存出来ないもの。一般的な使用原料は、梅と塩以外にもいろいろで塩分も低め。保存は冷蔵庫で、賞味期限・消費期限は一週間程度。※着色料や甘味料、保存料などが添加されている市販のものは・・・長くなるので書きません。お察しください(^-^;)

さてさて。話を土用干しに戻して。
・・・毎度恒例の脱線パラダイスなブログなのですみません「(^-^;)

天気と梅のコンディションに合せて干したりって、
考えてみたら面倒で楽しい作業(なんか矛盾表現?)を一つ増やしているわけですが、梅干しにとっては、この土用干しという作業が最後の仕上げになります。

長期保存できる「梅干し」を作るには、
土用干しであと一押しの自然の力を使います。
それは、太陽から降り注ぎ、悪玉菌をやっつけてくれるビーム。
そう太陽光線。特に紫外線の破壊力(殺菌力)(☆_☆)/~~~~

燦々と輝く太陽から梅に降り注ぐ紫外線が、表面などの微生物を殺菌。
熱線プラスαで、表面を乾燥させ、同時に本体の水分量を減少させる。

こうした作業が、梅本来の殺菌効果を増幅させてくれるんでしょうね。
常温で長期保存可能な(消費期限無し)状態になります。

※紫外線の力で殺菌・・・紫外線をあてることで、微生物の DNA情報を破壊し増殖出来ないようにしたり、細胞内に活性酸素を作らせ、その活性酸素が暴れ回って微生物の細胞を酸化させ、死滅させたりする効果の事。

白菜漬けや、ぬか漬けの場合、微生物と対話し微妙なバランスを保ちながら、好みの味を見つける「楽しみ」としてのお漬け物といった感じで、夏場や高温下にはとても弱い(足が速い)ものですが、その対極にある梅干しは、カンカン照りの暑い時期に作る「三毒を断つ薬としての意味合いが強い」もの。無くてはならない薬だからこそ、毎年毎年、丁寧に干すことで殺菌し、保存性を高めて常備薬とされていたのかもしれません。

※三毒とは、食物・水・血液の毒。有機酸などが作用して、食物や水の毒(ばい菌など)を退治。また、血液サラサラ効果やクエン酸による疲労回復効果も、経験上わかっていた事から、「血液の毒を消す」という効果も伝えられてきたのかもしれませんね。ホントに昔の人ってすごい。今でこそ科学的な理屈を付ける事はできますが、当時は自然の中から学んだ経験。感覚的な鋭さとか、探究心とかから生まれたのでしょうか。とっても興味深い作業だと思います。

昨日、
→梅酢が腐る(濁る)原因
にも書きましたが、自然界には様々な微生物がいて、この活動(有機物の分解)によって、自然の恵みをいただいているわけですが、不注意で微生物フードを作ってしまうと、宴会 が始まります(^-^;)

土用干しで雨にふられた時や、夕立後で湿気が異常に多い時(環境)、曇りの日で干しが足りなかったときなどなど。こうした悪条件が重なると、梅の表面でこうした微生物が繁殖を開始し、一晩置いて朝見たらカビ(☆_☆)」という事も多々ありますので、ベストな条件で干し始める事をおすすめします(涙をのんだ回数も数知れず。聞くも涙?語るも涙??思い出すだけで頭が痛くなる「カビ処理の日々」)

・土用干しという作業が生まれたのは、梅本来の殺菌効果でも防ぎきれない微生物(耐酸性のある微生物)などを、紫外線の力で殺菌することで、梅本来の殺菌効果・防腐効果を増幅させるのか。それとも衣類などの土用干し(虫干し)に引っ掛けて生まれた風習なのか。答えは一つではなく、いろいろな理由がありそうです…もっと図書館通いしなきゃかな(^-^;)

こうした理屈を知る前に、口伝えで学んで作った梅干しも、結果的には「長期保存出来ている」ので、土用干しの効果は疑う余地が無いと思います(^-^) ちなみに現在うちの店に食べずに残っているのは平成7年に作った梅干し(これ以前の梅干しはお腹におさまって・・・)。今年が平成22年なので、常温保存で15年間。腐らずに梅干しとして存在してます。さすがにこのぐらい古くなると、目立った変化も現れなくなります(^-^;)

さてさて。その2
紫外線は、一年中降り注いでいますが、
6月後半から強くなり始め、7月後半~8月中旬にピークを迎えます。

紫外線が強い時間帯は、朝9時頃から~お昼過ぎの14時頃まで。
最も強いのは11~12時。この前後の時間にまずは片面一時間ずつ、
両面を日光浴(紫外線浴)させてあげる事で、
太陽による殺菌効果が期待できます。

目安としては、秋の気配を感じる前(立秋)までには干し上げたいです。
一番良いのは、7月20日(夏土用入り)~7月23日(大暑)の間の、
いわゆる三日三晩の「三日間」。

※毎度書いておりますが、この三日三晩と言う目安は当時の梅を対象とした目安なので、
その後出て来た梅の種類(南高梅など)によってはこの三日三晩が該当しません。

それにしても、
この「土用近辺の紫外線量が最大になる」という理屈。
「この頃に干すとカビないよ」って事を経験から学び、
昔の人は知っていたと言う事もすごいことですよね(^-^)

そうそう。
梅レシピ本の27ページには、
毎年天候に泣かされるので、この期間を長めにとって
「8月下旬頃まで大丈夫」と書いてはいますが、
天候が怪しい曇りの日(紫外線の強さは快晴に比べると6割ほど)に
無理に干すよりも、8月下旬までのお天気を狙ってくださいという意味です。

間違っても・・・「夏休みを満喫したいし~本には8月下旬頃干せばOKって書いてあるし~梅はその頃に干そうかな~」という「人の都合に合わせた土用干しを推奨」しているわけではありませんのでお間違いなきよう(^-^;)

サンデー・マンデー・チューズデーも良いんですけど、
「和」の「梅干し」を作る時は、二十四節気(立春~大寒)が載っている
カレンダーを使っていただきたいです(^-^)/

土用入りや大暑などの正確な時間、土用干し前後の六曜については、
こちらからご確認くださいませ(^-^)
→寅年の土用干し-土用干し前後の六曜

あ、ちなみに・・・一部の特殊なガラス(石英ガラスなど)を除いて、
一般的なガラスは殺菌に有効な波長の紫外線をほとんど通さないので、
ガラス瓶に入った梅酢を、殺菌目的で日に当てるときは、
注意が必要かもです(殺菌目的であれば、他の容器で日に当てるとか?)。

気になっていた事は実験済なので、これはまた別記事にしようかな・・・
あ、でも長文にならないように気をつけねば
・・・さすがにここまで読むの大変ですよね「(^-^;)


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