野菜の暫定規制値と放射性物質-安全な野菜はマンモグラフィ何回分?

さてさて、仕事の合間に・・・いろいろと。
放射性物質のあれこれをメモメモしてみます。

暫定規制値を超えたらどうなのか?
超えてないけど少し検出されているものは?
と、疑問に思っていらっしゃる方へのラブレター from 荻窪

だってさ、「調べたけど安全です」って言われて市場に出荷されているのに、野菜離れが進んでいるし、未だに不安な消費者の方も多いし、テレビでは未だに風評被害を増やす報道が多いし・・・番組作ってる方・・・頑張ってよ・・・。

で、
そんなにネガティブニュースが好きなら、最悪な状況で食べた場合はどうなるのか?って考えてみたのですよ(笑)

ということで、暫定規制値を超えたものの中で、
一番数値が大きかったもの(3/17-3/30データ)を例とし、
最悪な状況を想定?して、ちょっと数字を出してみました。

※注意:このほうれん草は市場に出回っておりませんのでご安心ください。

○産地・検体・採取日
茨城県 日立市・ほうれん草(露地)・2011/3/18
○放射性ヨウ素
54100(Bq/Kg)
○放射性セシウム
1931(Bq/Kg)

上記データは、Bq/h(ベクレル・パー・キログラム)=検体1kgでのデータなので、摂取(経口摂取)量を100gと定義して計算、実効線量係数に換算して単位はmSv(ミリシーベルト)に統一すると、

100g中に含まれる放射性ヨウ素(I-131)は約0.119mSv

流行の例え(笑)を使うと、

上記ほうれん草100gを
8回食べると、一般人の年間許容被曝量(1mSv/1年)
20回食べると、日本人が一年間に自然から受けている放射線量(2.4mSv/年)
25回食べると、マンモグラフィ(3mSv/1回)
48回食べると、胸部CTスキャン(5.8mSv/1回)
840回食べると、ガンのリスク増加となる最低被曝量(100mSv/年)

と書いていて気がついた事・・・官房長官が会見で話された「一般的なほうれん草の摂取量」は平均15gだったですね・・・ということで再計算。(ちなみに100gなら普通に食べている量だったりする私・・・「国産野菜」好きです。かなり・・・しかし世の中では野菜離れが進んでいるのは悲しい現実)

気を取り直して再計算。

15gあたり811.5Bqなので、15g中に含まれる放射性ヨウ素(I-131)は約0.018mSv

しつこく流行の例えを使うと、
55回食べると、一般人の年間許容被曝量(1mSv/1年)
133回食べると、日本人が一年間に自然から受けている放射線量(2.4mSv/年)
166回食べると、マンモグラフィ(3mSv/1回)
322回食べると、胸部CTスキャン(5.8mSv/1回)
5555回食べると、ガンのリスク増加となる最低被曝量(100mSv/年)

ということで、
出荷されていませんが、もし検出された放射性ヨウ素の最高値を記録したほうれん草を365日/15g食べた場合でも、胸部CTスキャン1回分+α程度という数値でした。

放射性ヨウ素の半減期は8日と短い事、同じ条件・産地で通年栽培っていうのもあり得ない事なので、胸部CTスキャン1回までも実現不可能な数字かなぁと思います。

で、厳しいと言われている暫定規制値。
野菜の場合、放射性ヨウ素は2000Bq/Kg、放射性セシウムは500Bq/Kg

相手が目に見えないものなので、さーてどうしたもんか?といった感じですが、暫定基準値は厳し過ぎるから緩和と「今さら」言われても、混乱を招くだけ。基準となるものは厳しくて良いと思うんですよ。毎日食べる食物ですし、様々なものを食べるので複合的に考えないとですし。

これを上記計算に当てはめてみると、
暫定規制値ギリギリの野菜があった場合、100g中の放射性ヨウ素(I-131)は200Bq=約0.0044mSv

またしつこく・・・流行の例え、
放射性ヨウ素(I-131)が暫定基準値ジャストのほうれん草を100g食べた場合。

227回(0.9988mSv)食べると、一般人の年間許容被曝量(1mSv/1年)
545回(2.398mSv)食べると、日本人が一年間に自然から受けている放射線量(2.4mSv/年)
681回(2.9964mSv)食べると、マンモグラフィ(3mSv/1回)
1318回(5.7992mSv)食べると、胸部CTスキャン(5.8mSv/1回)
22727回(99.9988mSv)食べると、ガンのリスク増加となる最低被曝量(100mSv/年)

という数字になります。

野菜不足と言われている現代日本。一日に食べて欲しいと推奨されているのは400g/1日(成人平均)ですが、実際は300g/1日以下。

この平均摂取量で、放射性ヨウ素(I-131)が暫定規制値ギリギリ(2000Bq/Kg)の野菜を、さらに厳しい(一部実現不可能な)条件にして数字を出してみます(さらにネガティブ・・・笑)

○条件はこちら
・今まで通りの野菜生活(肉・魚はまだよくわからないので省略)をし続けたと仮定。
・(あり得ない事ですが)向こう何十年も水素爆発時と同量の放射性物質が出続けたと仮定。
・放射性物質の半減期も無視
・全て体内に蓄積(遷延被曝)され続けると仮定(体外への排出も無視)

で、毎日(1日は0.0132mSv)食べ続けた場合の計算をすると

約75日←一般人の年間許容被曝量(1mSv/1年)
約181日←日本人が一年間に自然から受けている放射線量(2.4mSv/年)
約227日←マンモグラフィ(3mSv/1回)
約439日←胸部CTスキャン(5.8mSv/1回)
約3787日(約10年)←放射線業務に従事している人の年間被曝量限度(50mSv/1年間)
約7575日(約20年)←ガンのリスク増加となる最低被曝量(100mSv/年)
約151515日(約415年)←致命的な被曝量2000mSv(2Sv)
約303030日(約830年)←治療しても助かる可能性の低い被曝量4000mSv(4Sv)
約606060日(約1660年)←助かる見込みの無い(致死)被曝量8000mSv(8Sv)

ということで、大げさ(非現実的)な条件でも、毎日食べて1年と2ヶ月で胸部CTスキャン一回分、目安となる「ガンリスク増加(ちなみに通常よりも5~10%増加のようです・文献によってまちまち)と言われている100mSv」までは毎日食べて20年9ヶ月ほどかかります。

暫定規制値ギリギリの野菜を毎日300g食べ続けて、致命的な被曝量に達するまでには415年・・・人間の寿命がありますので意味が無いかも。
内部被曝と外部被曝、吸入摂取と経口摂取でも条件も変わりますし、これ調べ始めたらきりがない世界なのかも・・・。

で、
半減期の問題だと思うのですが、

○話題の半減期
ヨウ素 I-131 半減期8.04日
セシウム Cs-134 半減期2.06年
セシウム Cs-137 半減期30.0年

短期的には放射性ヨウ素(特に吸入摂取)が問題視され、中・長期的には放射性セシウムが問題視されています。プランクトンを食べた小魚から高濃度検出とか、草を食べた牛から検出(筋肉に溜まりやすい)とか。

小魚を食べる中ぐらいの魚、それを食べる大きい魚・・・そして人間にたどり着いた時にはどうなっているのか?(継続的に検査されていれば、その前に出荷停止になると思いますが、いかんせん解明されていない事が多すぎるのですね。)

まだまだ断片的な情報しかありませんが、生物濃縮に関しては、牛を飼っている方々や漁業に携わっている方々のためにも、継続的なモニタリングが必要と思います・・・先日の汚染水垂れ流しは「最悪の状況を回避」と言われても、かなりショッキングな映像でした。

また、野菜農家に関しては、まずは出荷停止措置がとられた農家の方への買い取り補償等を一日も早く(生活がかかっていますから)。そして高濃度で検出された地域(原発を中心とした半径何Kmという区切りではなく、検出されたポイントで)の継続的な土壌調査も、生産地の将来のためにお願いしたいです。先日の記事にも書きました通り、半径90Km圏内でも大きな数字が出ていますので

いろいろな説があってあれですが、体内に入ったとしても、一定期間を過ぎれば排出されるという話もありますし、筋肉に溜まりやすいと言われているセシウムも、そもそも体がカリウムと間違えてしまう事で蓄積されるそうなので、野菜や果物をたくさん食べて、バランスの良い食事を心がけているだけでもかなり軽減されるような気がします。あんまり考え過ぎて悩んでいる方が体に悪い気がしますよ、昔から病は気からと言われてますし。

あ、カリウム豊富と言えば納豆(欠品多いですよね・笑)や、里芋やヤマトイモ、焼き芋、あと話題のほうれん草も(笑)

相変わらずまとまりの無い長文で失礼いたします。
文章力があれば・・・涙。

※公開されている資料を見て計算してみましたが、
放射性物質の専門家ではないので、どこまでが正しいのか?な部分もありますが、
何か間違いがあったらお知らせ頂けるとありがたいですm(_ _)m


○上記記事について

上記記事は放射性ヨウ素(I-131)を経口摂取した場合の数値です。

被曝量に関してのデータは、ネット上に分かりやすいまとめがあったので
Radiation dose chart(http://xkcd.com/radiation/)から引用しています。

単位はmSv(ミリシーベルト)に統一しています。

個人的に調べて分かった事は・・・そもそも放射線量のしきい値が存在しないので、どこからが健康へのリスクがあるのかは分かっていませんが、ガンリスク増加が見られる100mSvが目安になるのかと思います。これも、急性被曝がベースになっているようですが、遷延被曝の場合はどうなのか?など、まだまだ議論中のようです。

参考にしたのは以下の部分(英文)ですが、ピンクリボン運動でPRされているマンモグラフィの数値は日本のTV等ではあまり参考にされていないようです。(身近なので分かりやすいと思うんですけどね)

EPA yearly limit on radiation exposure to a single member of the public 1mSv
米環境保護庁による一般人の年間許容被曝量1mSv/1年

Mammogram 3mSv
レントゲンによる乳房撮影(マンモグラフィ)3mSv/1回

Chest Ct Scan 5.8mSv
胸部CTスキャン5.8mSv/1回

Radiation worker one-year dose limit 50mSv
放射線業務に従事している人の年間被曝量限度

Lowest one-year dose clearly linked to increased cancer risk 100mSv
ガンのリスク増加となる年間最低被曝量 100mSv/年

・参考までにおまけのネガティブデータ

Dose causing symptoms of radiation poisoning if received in a short time 400mSv,but varies
短時間に受けた場合、放射能汚染(人体への毒性)を引き起こす被曝量400mSv(ケースバイケース)

Severe radiation poisoning,in some cases fatal 2Sv(2000mSv)
致命的な被曝量2Sv(2000mSv)

Extremely severe radiation poisoning.Servival sometimes possible with prompt treatment 4Sv(4000mSv)
治療しても助かる可能性の低い被曝量4Sv(4000mSv)

Fatal dose,even with treatment 8Sv(8000mSv)
助かる見込みの無い(致死)被曝量8Sv(8000mSv)


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