最初は,赤紫蘇の絞り(灰汁抜き)が足りない事で,梅酢の塩分濃度などが下がってしまい,それが原因で発酵などが始まったと思っていましたが。。。
昨今,梅干しのレシピはいろいろありますが、haruさんが漬けた方法は,重しを使わず、毎日瓶をゆするという方法。そして、殺菌は焼酎。
結果は。。。(T_T)
香りは特に変化無しという事ですので、酵母菌でしょうか。
頼んでもいないのに、発酵まで連れて行ってくれそうな勢いです(T_T)
写真左は、鮮度の悪い紫蘇で,茎もそのまま入れたもの。
右は後から紫蘇を投入したもの(茎は取り除いて灰汁抜き)
気になったところ その1「重し」
重しを使わないと,梅酢の上がりが悪く,梅や紫蘇が樽(または瓶など)の中にある空気と仲良くします。
空気中には,カビ菌、酵母菌などのいろいろな菌が普通に存在していますので、きっかけが与えられ、適温が保たれ、酸素が供給される場所に着陸した菌は、元気に活動を始めます(T_T)
haruさんの場合の「きっかけ」は,赤紫蘇の下ごしらえ不足(茎の水分が梅酢を薄めてしまった)のでは?と考えられます。
最初のうちは地味に。でも、元気になると、カビ菌やら酵母菌やらが混ざって手が付けられなくなり、発酵,そして腐敗に向かいます。
完全にそこまで到達すると,酵母の働きがメインであれば、発酵臭やアルコール臭、カビがメインであれば、カビ臭さが出てきますし、腐敗した梅は溶けてきます。
以前このすごい状態の梅を見た事があります。生まれて初めて見た,梅酢が菌に負けた状態(^-^;)
梅酢は菌に体する抵抗力を完全に失って濁りきった状態で、カビ臭9割、梅酢の香り1割。上部にはカビがお祭り状態で広がっていて,梅はカビによる腐敗から溶け。。。なんというのか、言葉では言い表せない感じ。。。あの時は,お化けを見たような驚きと恐怖を感じました(T_T;)
話がそれましたが(^-^;)
haruさんの梅。
写真右は,赤紫蘇の茎を取って灰汁抜きをしたので、余分な水分が入らず,一見するとバランスが取れている状態。きれいな梅酢だと思います。
両方とも,毎日コロコロして、梅酢を循環させるという梅干しレシピ(重しを使わない方法)なのですが、この場合,右の梅にはその効果が出ていて、いい状態が保たれています。
でも、左の場合,この努力がマイナスに働いてしまって,下の方の酵母菌やカビ菌に酸素を与えてしまう結果になったようです。
気になったところ その2「焼酎での消毒」
一般的な焼酎のアルコール度数って、結構低いんです。人気のタイプだと、20~25度程度でしょうか。当店の梅干しレシピ内でおすすめしているのは,ホワイトリカー。度数は35度。
焼酎での消毒では、梅表面に付着していた菌類を殺菌するまでには至らなかったようです。10度というと、わずかな度数の差のようですが、減塩で漬ける場合は、意外と大事な部分だったりします。
気になったところ その3「赤紫蘇」
お知らせ頂いて,一番最初に疑い有りと思ったのが赤紫蘇の部分でした。
鮮度もありますが、赤紫蘇を使ったときに多いトラブルが「赤紫蘇の下ごしらえ不足」。
赤紫蘇の下ごしらえは、塩で水分を抜きますが,その直前まで生きていた葉っぱや茎ですので、たくさんの水分を含んでいます。ここで油断をすると,バランスが保たれていた梅酢に嵐を呼び込みます。灰汁抜きの作業が不完全な場合,それらの水分を頼りに,カビが発生するケースが多いです。
生葉の赤紫蘇を使うと,独特の風味を味わえます。手作りの梅干しだからこそ楽しめる本物の赤紫蘇風味は、梅干し作りの醍醐味ですが、反面,こういったトラブルが多い事も事実ですので、赤紫蘇を下ごしらえする時は,こうした理屈「なぜ塩を使って灰汁抜きをするのか?」という部分も思い出して下さいませ(^-^)
メモ – この梅の手当て
ちなみに、この症状が出た場合,ホワイトリカーで梅表面を殺菌消毒しますが、この殺菌消毒が不完全だと、菌の根っこ(?)のようなものが残っているのか,土用干しの際,その残り物が水分を引き寄せて,カビが発生したり,再発酵したり、という現象が出ますので、梅を洗う際は丁寧に手当てしてあげて下さい。
太陽光(紫外線)の殺菌に期待する場合は、1週間程度干して,完全に干しきってしまうのも方法ですが,ふっくらとした梅には戻りません(T_T)